翡翠

近所の公園を散歩していると、池のところでカメラの砲列に出会った。その先の池の中には止まり木が設えてある。翡翠が来るようだ。
カメラは20台以上。レリーズを延ばして池のそばに人はほとんどいない。
しばらく見ていると俄かに甲高い声がして、気が付くと止まり木には翡翠がいた。
三度池にダイブして小魚を捕まえた。そのたび猛烈な連写のシャッター音が響き渡る。しかしそれ以外は妙に静かだ。場に緊張が漲っているのがわかる。
5分もしないで翡翠が消えると、どやどやとカメラマンが姿を現わしてきた。フィルムを換装する者、レリーズを巻き取り撤収する者、一仕事終えた安堵感がこちらまで伝わる。
翡翠は若く大きく、以前、練馬で親しんだ年とった翡翠とは大違いだった。自分がいた場所は10m以上も離れていて、持っていた小型のスワロフスキーでは残念ながら力不足だったが、それでも目に突き刺さるような鮮烈な羽色には満足した。