夜のピクニック

茨城県の水戸が舞台となった青春映画。
24時間歩き通す高校のイベントで登場人物たちの関係が変化する話。主演二人の抑えた演技も良いが周りの友人たちも丁寧に描写されていて見応えがある。登場人物たちの前日の様子を描いたオムニバスムービー「ピクニックの準備」もあり、合わせて観ると本編の理解もより増す。
一日掛けて学校に戻ってきた二人がゴールゲートをくぐる。カメラが引くとGOALの反対側に書かれたSTARTという文字がフレームインし、確執が解けた二人のこれからを印象付けるという演出があざとくも決まっている。
主役の二人を邪魔する女の子を引き離すために無理やり会話を始めたロック好きの友人が、クレージーキャッツの話で予想外に盛り上がるエピソードがいい。
最後のチェックポイントで画面の隅に虹が映る。たぶんCGではないと思うが、そういう偶然もストーリーに妙に合っている。
一番の見所は親友に話せずにいた事実が発覚し気まずくなった関係が、歩きながら徐々に変わって行き、爽やかなエンディングに繋がるくだりだろう。それまでの長い長い道程の続きとして描かれているだけに、その時間の価値を観る者も共有できる仕掛けになっている。