めとき

大久保にある永福町大勝軒系の店。店から50m離れていても煮干しが香る。一般的な煮干しの香りに比べて漁港のような生臭さが混じるのが特徴的。
メニューは中華麺、大盛、小盛の三種しかない本格ぶり。中華麺を食べた。
スープはしかし煮干しは思ったほど強くはなく、さらっとしている。そして甘い。ラードが表面を覆うことはなく温度はぬるい。丼の底には軽く苦みが沈んでいた。立ち食い蕎麦屋で出すようなプラスチック製の丼に入っているが、スープの様子もどこか蕎麦に似ている。油分は極小なので、食後に両大勝軒系のように唇がテラテラするようなことはないだろう。
麺は中細縮れで歯ごたえが妙にもっちりしているのが珍しい。大鍋でテボを使わず、ただし少なめの湯で茹でているようだが、交換する直前のどろどろした湯だったせいか生き生きした伸びやかさはほとんど感じない。
具は薄く輪切りにした細い白ネギが一面に浮かび、周囲が黒いどっしりした煮豚といい対照を見せる。ひき肉と合わせたメンマは少し臭みが残してある。
臨時休業が多いと聞いて気難しく不健康な店主を想像したのだが、実際はこざっぱりしてテキパキと動く感じの良い人だった。レンゲが何故か金属製なのは韓国料理屋が多い土地柄だからか。小さいのでスープを飲むのに回転を上げる必要があるのが厄介だ。もろもろの印象があるひとつの方向を指しているように感じる。個性の強く出たラーメンと思う。