招き猫



九谷焼の招き猫を銀座松屋で購入した。約8cmと小さい。3,675円。丸まって眠る姿で、左手を頭の上に挙げ、ちゃっかりと招き猫のスタイルを守っているのが可笑しい。よく見ると約束のよだれ掛けも表現されている。
九谷焼の「盛り」の技術が使われていて、耳の中のベージュの彩色を見ても、過日手にいれた60cmの招き猫と同じ工房生まれなのは間違いない。残念なのは小さい方が逆に描き込みが粗いことだ。顔のあたりは小さい方が「・」を打ってあるのに対して、大きい方は「っ」の形を繰り返して細かい模様になっている。鱗のようにも見えるが、恐らく柔らかい毛のメタファなのだろう。ただ、その過剰な描き込みが職人の執念の凄みを感じさせて恐いところがあるのも確かで、だからこそ今度の招き猫の粗さは適度な力の抜け具合が好ましいといえるのかも知れない。