夜の彷徨 マスタリングの差

Larry Carlton

Larry Carlton

ギターアルバムの金字塔、Larry Carlton の「夜の彷徨」を入手した。
4曲目の Point It Up は正に弾いて弾いて弾きまくるという言葉を音にしたもの。Jeff Pocaro も流石で、寄り添いつつおかず(インプロ?)は稲妻のような閃き。
アナログ録音の宿命か低音こそ緩いものの全体としては十分に満足できる録音だろう。ハイ上がりのバランスは少し気になるが。CD化の際に録音スタジオである Room 335 でリミックスされたと記載がある。リマスタリングは Bernie Grundman。盤面に(P)1988年の文字。
夜の彷徨(さまよい)(SHM-CD)

夜の彷徨(さまよい)(SHM-CD)

好奇心から09年に販売された SHM-CD も購入してみた。帯には2007年24bitリマスタリングの表記があるが、腹立たしいことにスリーブ内に情報は皆無。比べると約3dB平均音量が大きい。一聴なぜか中域から低域に掛けての安定度が高く感じる。この辺りデジタル機器の精度が上がったイメージといえばいいか。音色的には中音量域でのギターが滑らかで伸びが良く、シンバルの木目の細かい表情が締まりつつも他の音に埋もれずくっきりと聴こえて目覚ましい。ハイ上がりは変わらずだが88年盤でボン付いていた鈍い低音は09年盤ではしゃくれたようにやや強調されてそれなりのバランスを目指しているようにも思える。
総じて2枚は甲乙付け難い印象。プレーンで癖の少ない88年盤に対し、鼻につかない程度に張りを効かせた09年盤と言えるように思う。