Wilson Benesch ARC のデザイン

ARC ポート
外から見える天板はアクリル。底板はMDFだろうか細やかに材質を変えている。端子部は Bishop と同一。
底面にバスレフポートがあり、それを避けるようにスタンドの天板は馬蹄形になっている。幅は狭いが厚さはあり、さらにスピーカーと3本のボルトで固定されて鳴きを抑えている。スピーカー側は底板に単にネジ穴が開いているのではなく、ネジ穴の付いたステンレスのスペーサーが取り付けられている。インシュレーターといってもいいようなしっかりした造りだ。ネジ穴を覗くと奥は凹んでいて細長いスパイクなら届きそう。スタンドを使わない選択肢も考慮されているのだろう。
スタンドの柱部の断面は数字の 8 を押し潰したというか、三角2つをくっつけたというか、少々特殊な形をしている。シンプルな造りで強度と鳴き留めを両立させているのだろうか。叩くと鈍く短く共鳴するが、嫌な音ではない。
床には3点のスパイクで設置される。前方1点は薄い粘着性のゴムを介して中央部の凹凸ではめ込まれ、高さの調整はできない。この凸部は板を貫通しておらず、正面からは見えずすっきりとした外観としている。後方の2点はネジで高さ調整ができる。底板は3点設置に合わせた変形三角形。最小限の面積となるよう微妙なカーブでつなぎ、これもまた鳴きを抑えているのだろう。地震で倒れやすいのは唯一残念だ。
総じて、質素な造りだがネジなどのバーツには不足なく物量が投入されている。細かい部分まで目が行き届いた優れたデザインだろう。エンクロージャーのカーボン積層部分は美しく、後ろ側の形状も流麗で同社の面目を誇らかに示して気持ちが良い。