ラックの音

2つのラック
CD再生のメイン機として使っている Goldmund のトランポを修理に出して、Goldmund Mimesis Rack の最上段が空いた。この機会に、SACDトランポの Accuphase DP-100 を設置してみる。こちらは Quadraspire Q4D Reference が定位置だ。
しばらく使っているとやはり少し音が違うことに気付いた。一度元に戻して比較してみた。ilungo の革製インシュレーターを使っているので丸一日馴染ませてから試聴。Q4D R は浮遊感があって滞りのないスムースな音。ヴォーカルがよく伸びて美しい。一方、低域方向は何だかぼんやりしてだらしない。対して Mimesis Rack は全域で音調が揃い、タイトでエネルギー感に富んでいる印象。音量も Mimesis Rack の方が特に中高域で大きく、低域では量が減る。この辺り中高域に少々余計な音が加わっているような気もする。ただ全体としては低域の音質が目覚ましく Mimesis Rack の方が好ましい。
現用の Goldmund Mimesis Rack は初期型の一体モデルで、アクリルの棚板が付いている。金属製の四隅の支柱から腕が伸び、棚板が固定されている。ただし Goldmund の機器のスパイク位置にはアクリルを貫通する穴が明けられ、穴には円柱の先が円錐状に尖った金属製スペーサーが入っている。要はラックに置かれた機器は上記の構造でアクリル棚板ではなく腕の部分に直接荷重を落とすことができ、アクリルの色付けを逃れようとしている。美しくさりげない外観の中に、驚くような凝りの構造が仕込まれた優れたデザインと思う。
一方の現行機(MM Rack)では鉄の支柱に棚板中央を大きくくりぬいたアルミの棚板が固定された構造となっている。開口部が大きすぎてもはや板状ではないのでフレームと言った方が正しいだろう。合理的なスタック方式で接合部やネジ穴が見えている点など外観は機能優先でスパルタン。異種金属で共振点を分散させていることから音は初期型より良さそうだが、価格の高さと相俟ってもうひとつ魅力に乏しいのが残念な製品となっている。