ウルトラセブン

ウルトラセブン
wowowウルトラセブンのHDリマスター版を放送している。
ウルトラQウルトラマンに比べると、街の風景が映っていることが少ないので面白くない。輸出を想定して意図的にそうしたようだ。
ストーリーもいわゆる子供向けなのだが、名作というものもある。
例えばあまりにも有名な「ノンマルトの使者」。話の筋はいつも通りで、地球人の平和を乱す侵略者である宇宙人をウルトラ警備隊とウルトラセブンがやっつけるというものだ。ところが侵略者であるはずの海底人ノンマルトは、セブンの故郷では地球人そのものを指す言葉であったという。現在地上で地球人としてふるまっている我々が侵略者であったということだ。それなのに物語は当たり前のようにいつもと同様に進み、ノンマルトはついに滅ぼされてしまう。それが逆に強烈な違和感と恐ろしさを感じさせるという具合になっている。
音と映像についても言及しなければならない。
タイトルバックと主題歌では40Hzの低音が中高域とほぼ同レベルで入っている。元々入っていたのか、後から付加あるいは増強したのかはわからないが、胸踊るような圧倒的効果を上げている。
映像は、例えばノンマルトの使者の戦いのシーンで、セブンの赤いスーツ(皮膚?)の色が水に濡れて異常に艶やかで美しい。役者の肌の質感も自然で、にわかに何十年も前に作られたものに思えない。むしろ地上デジタルの最近のいい加減なドラマに比べて、明らかにきっちりと撮られている。昨日撮って今日観ているというような生々しさを感じる。
いくら元がフィルムだったとはいえ、例えばサウンドオブミュージックやアラビアのロレンスなどといった大作映画とは比べ物にならないほど貧弱な素材だったはずである。これは、プロが限られた時間で最高の成果を出しましたという類いのものではなく、狂信者が身を削って魂を宿したものという気がする。要するに、観た瞬間「ばっかじゃないの?」という位に高画質ということだ。