自動車購入の動機

昨年、50歳になるのを機に自動車を購入した。定年まで10年で、運動神経や感受性、気力といったものは段々と落ちていくだろう。新しいことに挑戦するには良い時機と考えた。とりあえず1年間、四季を通して乗ってみて、その後どうするか決めたいと思う。
もともと車は好きだった。子供の頃にスーパーカーブームがあり、地方だったので高速道路の上に掛かる橋で、飽くことなく様々な車の走る姿を眺めたりした。機械工学科を専攻したのはエンジン自体に興味があったからだし、就職して勤務地が地方になったなら、車を趣味にしようと決めていた。
1997年、ルノーからスポールスピダーが発売されたとき、今使っているスピーカーとほぼ同額で、どちらを手に入れようか迷ったこともあった。結局、国内正規店では、ウインドスクリーン付きしか扱わないことがわかってスピーカーの方を選んだが、まともな車庫の確保が難しかったりと、良い環境で車と暮らすのは、思ったよりハードルは高いということも痛感した。
気が付くと、車庫付きの家に住んでいて、生活のために車が必要ということもなく、遊びの車を持つにはいい環境が揃っていた。
車は「もの」好きの自分にとって、機械技術の結晶であって、「もの」の最高峰である、という考えは長い間持ち続けている。ただ残念なことに、車にとって良い時代は、遥か昔に過ぎ去ってしまったというのも正直な気持ちだ。セブンは、60年前のデザインコンセプトを色濃く引き継いでいて、良い時代の残り香がある車だと思う。