DP-900貸し出し試聴

DP-900

Anne Sofie Von Otter Sings Han

Anne Sofie Von Otter Sings Han

AccuphaseSACDトランスポートDP-900の貸し出しサービスを申し込み、オーバーホールしたばかりのDP-100と比較試聴した。
DP-100はリファレンスメカと呼ばれるコスト度外視(というか実験機そのままのような)のSONY製ドライブメカが使われているが、時代の下ったAccuphase製ドライブの実力はどうなのか。もちろん、トータルな音質はドライブだけでは決まらないだろうが、どこまでその素性が音に効くのかも興味深かった。
5日ほど通電して毎日少しずつ様々なディスクを聴いた。結果、CDはほとんど変わらず。SACDも差は少なく肩透かしという感じだ。ドライブメカに由来すると思えるようなドラスティックな音の差は認識できなかった。
SACDは音楽にまとわり着く動的なノイズが少なく高域が静かで透明度が高い。デジタル周りのノイズ処理が進んだのだろうか。音が軽く出るのも違う。音自体が軽いわけではなく、楽々とすっと出てくる。これは電源部が充実していたり、筐体の造りが効いて、土台がしっかしりて踏み込みが効く印象だ。一方で、低域の表現が中高域に比べてやや鈍く何だか冴えない。慣れていることがあるのかもしれないが、DP-100の方が全域で均一な音調でまとまりが良く感じる。
DP-100、DP-900共にCDの音はGoldmund Eidos38に比べると、解像度は高いものの、鮮やかさがなく単調。奏者が下手になったように聴こえるのが痛い。DP-900の導入でEidosは引退かと思ったが、10年経っても超えられない壁があることがわかった。
音以外でも、DP-900ではプログラム再生やインデックスサーチ機能(一枚だけ必要な愛聴盤があり)がなくなってたり、表示が小さく見にくかったり、使い勝手が落ちる部分が散見される。ハイブリッドディスクでSACDが優先選択されるのも自分の使い方では鬱陶しい。ディスク挿入時のドライブメカの動作音がガチャガチャと安っぽいのもがっかりした。
DP-900は発売から2年以上経過し、後継機種が出るまであと3年程度と考えられる。買う気満々だったのだが、購入は見送ろうかと思う。