カメルーンのオペラ

オーディオ評論家の長岡鉄男が推薦した、いわゆる「長岡ディスク」の一枚。そして自分にとっては長岡ディスクの代表盤だ。SACDハイブリッド盤を購入した。
ジャンルは民族音楽なのだろうが、ドキュメンタリー的に音楽のある現地の生活を切り取っていて、「オペラ」の名に恥じない創造性を強く感じさせる。
デジタルディスク化を長く待たせた挙げ句に「お待たせぇ」には苦笑だが、レコードを愛聴した頃から30年経っても、音の印象を隅々まで鮮明に記憶していることが興味深かった。
音質に関して、ヒスノイズは仕方ないとして、音にまとわるノイズが増えているのが気になった。虫の声も雷鳴も、背景に不気味なほどの静けさがあったはずが、何だか普通の音になっている。音の立ち上がりの速さも驚くほどではない。マスターからだろうが、低域の緩さはアナログ音源の限界が見えるし、ダイナミックレンジの圧縮も仕方ないとはいえ残念に感じる。
音楽性、芸術性については極めて素晴らしいものであることを再確認した。ありがたく愛聴したいと思う。