Sugar Babe / Songs 40周年盤

トラック2のDOWN TOWNで94年盤と比較した。
リマスタリング盤は、我が家の装置で4dBほど音量が上がっている。おっとりした94年盤に比べて、エッジを強調してどこか浮き足立った感じで、通常の大きな音で再生すると落ち着かない。手放してしまった2005年盤と同じ傾向だろう。
リミックス盤はリマスタリング盤と音量感は同じ。ヴォーカルや楽器の音がくっきりとして明らかに解像度が上がっている。リマスタリングで無理に音を良く聴かせようとするのとは違い、根本的に音がクリアになっている。リマスタリング違いで現れる類いの変化ではなく、これは装置のグレードが上がった時に一般的な変化だろう。立ち上がりのスピード感も上がり、軽々と音が出てくる。エコーが減ったことで、さらにくっきりと聴こえるというのもあるようだ。翻って05年盤も含めたリマスタリングでは無理な処理をした代償が違和感として現れたことがわかってくる。
以前記した「素っ気なくもダイレクトな質感が瑞々しく、如何にもデビューアルバムという感じがして好ましい」という特質が、リミックスによってもう一段レベルアップしていることが何よりも嬉しい。
また、音質とは関係ないのかも知れないが、ヴォーカルのセンター定位が向上している。リマスタリングは94年盤も同様だが、若干左に寄って(首を左に曲げて歌っているように)聴こえていたのが、リミックスによってきっちり正対してくれるようになった。
音が良くなったときに、まるで新録のような、という言葉がある。今回のリミックスはそのレベルではなく、若干掟破りな気もする。音を新しくするというより、当時は機器の限界で出来なかったことを、現代の技術で実現したという感じだろうか。タイムマシンで40年前に機器を運んで、制作し直すという夢が実現したような気がした。