きら星

武蔵境の有名店。
以前近くに住んでいた時には何度行っても行列で、結局一度も店に入ったことはなかったが、今回思い立って途中下車してみた。平日の開店7分後に店の前に10人待ち、中でも何人か待っていたので座れたのは30分後だった。
ラーメンを食べた。
豚骨スープはドロリとしてエキス分たっぷり。複雑精妙で優しい味。臭みは気にならない。麺はもちもちねっとりとした個性的な太麺で白くつややか。味自体には癖はない。具は茹でたキャベツ、玉葱の大きめみじん切り、メンマ、分厚く柔らかい煮豚というもの。鰹ダシの餡が極少量トッピングされている。
麺とスープの強烈なまったり感に圧倒され、丼全体としての印象が残らなかった。隣で女子大生二人がおしゃべりしながらゆっくりと食事しているのを見て、イタリア料理店でパスタを無意識に絡めながらおしゃべりに興ずるという風景を思い浮かべた。このラーメンには麺を食べる爽快感といった要素は全くなく、麺とスープの関係はどちらかといえばスパゲティとソースの関係に近いのではないだろうか。
普段はスープを飲み干す習慣の自分も、このスープを飲むのは何だか残ったパスタソースをすするというような気になって憚られた。
ラーメン王として知られる店主は、ラーメンに似た新しい食べ物を創造したかったのかも知れない。