ZETTON

池袋のラーメン店。住所は池袋だが周囲の様子からみて文化圏は目白だろう。バーを思わせる店内。広いウエイティングスペースにはもうすぐテーブルが置かれて夜は酒を飲めるようになるらしい。黒シャツを着た男ばかりの店員でやっているようで、隅のコートハンガーの脚の部分には埃が厚くたまっていたりと、やれた感じがある種のいい味を出している。つけ麺並盛にメンマを付けた。
麺は渋い黄色の太ストレート。上には海苔が乗り、美しい麺が隠れているのが奥ゆかしい。ただしそのままにして置くと麺とくっついて悲しい結末になるので、お重の蓋を開ける感覚ですぐさまつけ汁に投入して麺に対峙すべきだろう。
スープはダブルスープ。甘辛酸の内、甘味と酸味は感じられず、辛みは隠し味程度。極力麺を邪魔せず脇役に徹している。丼を干すとべっとりと魚粉が残るものの、味自体はすっきりとして雑味はない。
麺を手繰ることはできず、わしわしと食らうタイプではあるが、口中で感じる小麦の滋味が強いので麺食いの心は満たされるであろう。
別皿で供されるトッピングメンマは特盛。極太でエッジも立っていて積み木を連想させるヴィジュアルはなかなか楽しませてくれる。そして恐ろしく柔らかく仕上げてある。丁寧な仕事だが残念ながら味自体に旨みは感じられない。何故かチョコレートの風味を感じた。
メニューにはラーメンの方が先に記載されているが、このつけ麺の王道を突き進む麺とスープを知ってしまっては、ラーメンには食指は動かないのではないかと思ってしまう。