梅乃家

千葉県富津市竹岡にある、竹岡式ラーメンの代表店。土曜の14時前に6人待ち。皆遠方からの客のようだ。店内には寛ぐ地元客も多く、店員のおばちゃん達と会話が弾む。「チャーシューを煮るのが間に合わないため、ラーメン並と大盛のみ」との貼り紙。並を薬味付きで頼んだ。
ほっこりした白い丼に黒々としたスープが溢れんばかりに注がれている。というか、実際、周りを見ると溢れてテーブルを汚してしまっている人が多数。それがデフォなのだろう。縁の黒い豪快な煮豚がスープに見え隠れする。このような野生的な丼を前にすると、ラーメン好きのテンションは嫌でも上がってしまう。
竹岡式は、麺の茹で汁でタレを広げるという。スープの塩辛さは見た目ほどではなく、まったりした穏やかな味。エキス分は十分で獣や魚介の癖はない。麺は中細で、非常に強く縮れ、意外な程ふわふわした軽い食感。店頭に炭が見える。炭火で乾麺を茹で上げるそうだ。
メンマは味、歯応え、色と全て上品な仕上がり。煮豚は角煮風。これをつまみに一杯やるというのも平日ならあり。
竹岡式の特徴である薬味の玉ねぎは、苦味が強く、辛味はないという技の入ったもの。丼をキリリと引き締め、薬味と呼ぶにふさわしい。
漁師町の、賑やかだが、どこかがらんとした店で、わしわしとラーメンを喰らっていると、麺を手繰る素朴な愉しさに心が静かに満たされていく。