Coherenceの修理


他系統のコンセントでプラグを挿す時に誤ってACをショートさせてしまい漏電ブレーカーが落ちた。以降プリアンプが操作不能に陥った。代理店に見てもらうと各部に大きなダメージがあるとのこと。AMPボードと呼ばれるメインボードを交換することになった。音に関してはほぼ新品状態になったということだろう。
通電一日目。全体にだらしない印象。特に低域は肥大している。ボリューム値に対して以前より音が大きく感じる。ときおり底力のような凄みがかいま見え鳥肌が立つ。これはDAC直結や修理中に使っていたプリでは経験できなかったことだ。低域は多少伸びており、さらにワルツフォーデビーの地下鉄がスピーカーとは別の場所から聴こえ、この場で何処かの電車の音が聞こえたのかと思わず錯覚してしまった。他の音源でも音そのもの以外にも演奏空間、場の空気感といったものにも注意が向き、ライブの熱気や奏者の気持ちというべきものが心にすっと入り込んでくるのが快い。
通電二日目。急激に締まりが出て音量が適正な状態になってきた。一聴するとさりげなく、こじんまりしているようだが、何やら土台のようなものが感じられ、その上で様々な表現が為されていることがわかる。そして土台は強固かつ巨大なエネルギーを内包している感じが表現全体の安心感と信頼感につながっている。低域は重さはあるものの速さは表現されず、隅々まで制御が行き届いたようには鳴らない。
新品購入時に音がある程度まとまるまで一カ月は掛かった。Coherenceには隠しコマンドのような操作でエージング促進用の電子音を発生させる機能が付いている。まさか再びこの機能を使うことがあるとは思ってもみなかったが、丁寧にエージングをさせてこれからも長く愛用したい。