ラーメンショップ的場店





映画「鉄塔 武蔵野線」には物語の終結部で主人公が亡くなった父と幼いころ一緒に食べたワンタンメンを想いながら、一人ワンタンメンを食べる印象的なシーンがある。
回想シーンで父と食べたラーメン店であるラーメンショップ的場店に行った。
街道に挟まれて建つ大きな店で、コの字型のカウンターは16席もある。店内は冷房されているにもかかわらず、入り口は大きく開け放たれて気持ちが良い。ラーメンショップは店によってかなり違ったラーメンを出すことが多いので、この店には件のワンタンメンがあるものと思い込んでいたのだが、残念ながらメニューにワンタンメンはなし。仕方なくチャーシューメン中盛りを食べた。
味は塩気が強くさっぱりとしたラーメンショップの典型的なスープで暑い中自転車で走ってきた身にはありがたい。煮豚は茹で豚のようなすっきりとして柔らかいタイプ。
この店からは武蔵野線も近く、20号、21号鉄塔を見に行ってみた。21号鉄塔は、主人公の見晴が「頭頂・顔面・脚部の均整が取れた、武蔵野線で最も形状のよい女性型鉄塔の1つ」と形容し「晴れ晴れとした気持ちになり、胸の奥が拡がってくる」のを感じた鉄塔である。文庫のしょぼい写真や、DVDの不鮮明な映像ではもうひとつ鉄塔の魅力がわからなかったのだが、確かにバランスが良く美しいということが理解できる。L型鋼が光と陰によって微妙に色が変わるのがなかなか味わい深いと感じた。