八王子のラーメン店。煮干ラーメン大盛りを食べた。
店内に煮干の香りが漂う。麺は大鍋で泳がすように茹で、入念に湯切りを行っている。自分が訪れた時は客を待たせて一人分ずつ茹でていた。大鍋がふたつ並んでいるように見えたが、もしかするとふたつとも茹で用の鍋かも知れない。スープは薄い色で煮干の苦みを軽く感じる。上品過ぎず下品になることもなく中庸。余計なものを除いて煮干を前面に出そうという気が伺える。一方でメニューにはもう一種ラーメンも並んでいるので、煮干ラーメン一本で勝負しようとは考えていないようだ。そうすることで思う通りの味を提供できるということだろう。
麺は特徴的。細く偏平なストレートで、カップヌードルの麺から縮れを取り除いたような珍しいもの。口中で不思議にもふわふわした食感となる。不意に錦糸卵を思い起こしてしまった。麺とスープの相性は予想以上に良い。前述の茹で方、湯切り、また、丼の中で麺をほぐして揃うように整えるという手を入れることがこの仕上がりに繋がっているのだろう。
他に旨みが丁寧に引き出された煮卵。薄く切った繊細な青ネギ。チャーシューはどっしりと重く堅いもので麺やスープとのコントラストが大きい。周囲の麹らしき赤味からすると煮豚ではなく正式なチャーシューかも知れない。じゃっきりとした見事な歯応えのメンマは薄味で分をわきまえて無駄な主張はしない。
総じて麺とスープ、各種の具の織り成すバランスの妙が楽しめる立派なラーメンだ。