平日月曜の14時に6人待ち。江東区が誇る行列店、深川の「こうかいぼう」でラーメン(+メンマ、味玉)を食べた。
粘土色のくすんだスープは一口飲むと絶妙な甘さと酸味が広がる。今まで食べたことがない非常に個性的なもの。しばらくこの味は一体どこからくるのだろうと考えたのだが、結局最後にいきついたのは節系、それも本来の鰹節の味ということだ。枯れ節とか本節とかで正しく出汁を取る、魚の臭みや嫌みは全くなく上品な香りとうま味だけが抽出されているということではないか。今まで食べた節系スープが偽物に思えてくる。
麺は中太で少し縮れたもの、もっちりとした食感で、スープと共に滋味あふれると表現したいもの。
メンマは大振りで柔らかいが筋は残ってかなりの食べ応えがある。煮豚は豚の持つ甘味を十分引き出している。全体にやさしく丁寧で、しっとりした中で、ごく薄く切ったネギだけが辛味を主張して丼を引き締めている。
夫婦二人での営業。給仕をするおかみさんはベンチに座った客に対してぴったり合わせた膝をすっと曲げて上体を近づけ注文を取る。その丁寧な仕草が自然で気持ちのよい接客だ。主人が作るラーメンもその接客に相応しく誠実なもの。残念ながら行列はこれ以上増えることがあっても減ることはないだろう。