芳蘭

札幌すすきのにある老舗ラーメン店。年期の入った黄ばんだ屋内の雰囲気が落ち着く。カウンターとテーブルひとつで、土曜日の18時前に客は自分一人。味噌ラーメンを頼んだ。
店員はおばさんが一人。やおら良い音を立てて中華鍋を振るい、野菜を炒め始めた。かなりの強火で、味の三平のたっぷり3倍くらいの時間を掛けている。麺は小さい寸胴鍋で蓋をして茹でる。麺上げは平笊。スープは複数の鍋から数回に分けて丼に入れ、味噌を溶く。
具はもやしの他は刻みネギ、細切りのメンマ、ワカメ、小さくさっぱりした味の煮豚。スープは赤味が強く、べったりとした甘さがある。インスタントのサッポロ一番を思い起こさせる辺りは、有楽町の芳蘭と同じ。焦げたもやしが点々と胡椒のように漂う。黒く細長いのはもやしの髭だろう。この苦味がアクセントとなる他は、動きの少ない、まったりした味噌ラーメンだ。
麺は中細。西山製麺の文字が暖簾にある。癖なくふんわりほっこりとした優しい食感。
食べ終わる頃には、常連とおぼしき男性客が二人来店していた。すすきのという繁華街にあっても、気の置けない近所のラーメン屋という立ち位置なのだろう。