さんかく

目白駅近くのわかりにくい場所にあるラーメン店。小料理屋風の洒落た内外装だが、妙な臭いが店内に満ちている。建材かとも思ったのだが、出てきたラーメンから同じ臭いがしていた。豚の獣臭さだろう。田舎の寂れたラーメン屋で同じような重く沈んだ臭いがすることがある。さんかくは新宿に昭和20年代からあった店の味を受け継いでいるという。臭いも受け継いでいるのかも知れない。
中華そばを食べた。麺は白っぽい太縮れ。艶がありツルツルしている。スープは臭いは別にして薄味でさっぱり。透明感のある醤油色が白熱電球の光に映えて美しい。煮豚も堅くて薄い昔風で噛むとじんわりと旨みが広がる。白と青の二種の刻みネギが入るのは今風だろうか。メンマは見た目や味は普通だが非常に堅く歯応えがある主張の強いもの。三角形の厚い海苔が一枚。小皿で小松菜とお新香が付くのが面白い。
個人的には少し違和感があったが、この味に郷愁を感じる人は少なからずいるかも知れない。