のんきや

奥多摩の食事処。100年を越える歴史を誇る店であり、当初から手打ラーメンを出していたという、老舗というより神話級の店。手打中華そば(醤油)を食べた。

店内が豚臭いというか生臭い。スープは豚の甘い香りがする。赤みが強く、少し濁っている。味は様々な素材によるだろう複雑な奥行きがあり、さっぱりしていても飽きることがない。

麺は素人が打った蕎麦のように太さがバラバラで短い。ちょうど同じ頃創業の神田の巴屋の麺が、超絶的な長さだったのが懐かしく思い返される。舌触りも蕎麦と同様で、ざらつきと滑らかさが共存していて愉しく美味い。これを中華そばと呼んだのは実に的確だと感じた。

メンマは麺とバランスさせたのか、様々な太さが混在してこれも食感豊か。煮豚は予想を裏切らない獣臭さの野趣と甘みがある。二枚乗る鳴門は、「の」の字がのんきやの「の」に見えてきて可笑しくなる。

時代に媚びず、独自の味を貫いていることが伝わり、嬉しくなるラーメンだ。