村山ホープ軒

武蔵村山市のラーメン店。多摩モノレールの終点から徒歩10分ほど。コの字カウンターを2つ並べた見通しの良い店内は、大型連休中の昼過ぎに、子どもから爺さん婆さんまで幅広い客層で満席になっていた。ランチラーメンを注文。通常ラーメンに煮豚と茹で玉子、メンマが追加される。
スープは甘く穏やかで、やや単調。アクセントとなる獣臭は千駄ヶ谷よりも強め。煮豚も特に脂身部分は臭い。カウンターに特製唐辛子があり、終盤に入れてみたが、個人的にはニンニクを少しずつ入れて変化を楽しみたいと思った。ニンニクは有料。多めの麺に合わせてスープも多いが、さすがに千駄ヶ谷よりは少ない。背脂と別に透明な油の膜も厚く麺はぬるりとする。太麺は、もっちりふっくらという華のあるタイプではなく、ゆるくさりげない。優しいスープとの相性は良いように思う。
モヤシは臭みなく茹でられてしゃっきり。モヤシ増量トッピングは170円と高価な上に、平日昼のみ提供と、他に例がないほどに特別な位置付け。確かに手は入っているようだ。煮豚の肉部分は特徴に乏しく、メンマはフードコートのラーメン並に素っ気ない。丼の完成度より、スープと麺を中心に楽しむラーメンだろう。
全体に味は、ホープ系の雄の名に恥じない立派なもので、千駄ヶ谷とは甲乙付けがたいように思う。
千駄ヶ谷は国立競技場の向かいという、都心にあって人気(ひとけ)の薄い場所にあり、それに合った屋台風のがらんとした店の雰囲気が魅力だが、対照的に、村山は近所に大きな団地や商店街があり、隅々まで目の行き届く店の設えや、おばちゃんたちの朗らかな接客もあって、人肌の心地よさが印象に残る。神田のいせ源、南千住の尾花、森下のみの家など、広間に座卓を並べて庶民が大勢で一緒に食べる、あの古き佳き日本の愉しさが感じられて素晴らしい。